通っている病院のエントランス周辺に、たくさん植えられているこの花が
いま、ちょうど満開!です。
こちら神奈川県では、主にこうした 人工の植え込みやお庭に使われていて
野生ではわたしは見たことがありませんが
日本原産の花で、特に関東より南に多いようです。(冬も路地で緑のまま綺麗です)
この花は「ツワブキ(石蕗)」といいます。
名前のとおり、フキと同じ仲間で
「ツヤツヤな蕗」からきた名前と言われています。
見た目も「葉っぱが厚くてツヤツヤな、フキ」です。
わたしが出産した病院では、この花の、この厚みのあるツヤツヤの葉っぱを
乳腺炎の際の「冷感湿布」として推奨していました。
ちょうど葉っぱの形も丸いので胸に貼りやすいと
最初、助産師さんにすこし頂いて貼ってました~
なのですが、この辺りでは 人のお宅のお庭や お店・マンションなどの植え込みでしか見ないので
代替品として「キャベツ」の葉っぱを毎日ぺたぺたと
胸に貼って冷やしておりました。
単に「丸い葉」ということなら
冬以外は、お仲間の普通の「フキ」なら
その辺にたくさん野生で生えているので
「フキ」の葉を使ってみればよかったな~
「フキ」使ってみよう!という発想に当時至りませんでした。
フキの葉はペラペラで薄いので適していないかもしれませんが
それも使ってみないことには分かりませんからね。
この「ツワブキ」
ふつうの「フキ」とちょっと違って
葉っぱがツヤツヤで厚く、冬でも綺麗に茂り、冬にこのように黄色い花をパッと咲かせます。
フキは葉っぱは薄くて、冬には地上部が枯れ、花はもっとひっそりと春に咲きます(=ふきのとう)
ただ、どちらも「キク科」で、花後にはタンポポのように綿毛ができるので
近所にあったらぜひ観察してみて^ー^*
で、気になったかも? ですが
フキって食用ですよね。野菜売り場で売ってます。
葉っぱのついた茎や 花芽(ふきのとう)を食べますね。
ツワブキも、食べられます!
九州にお住まいの方は「当たり前じゃない」と思うかも?
主に九州~南のほうでよく食べられているそうです。
九州にお住いの生徒さんに「ツワブキ摘んで食べました」と報告いただき
神奈川で「食べる」という話は聞いたことがなかったのでビックリ!したなあ~。
いま、
「湿布として使う」
「野菜として食べる」って話が出ましたよね?
もちろんツワブキの花はご覧の通り可愛いので、飾っても◎です。
薬にしても、生活用品として使っても、食べても、飾って眺めても良いのです。
「花とは、花屋さんで買って、飾るもの」
と思っていたら
ちょっと意識を変えてみて。
花=植物は
その辺に生えているものです。
(その中で美麗なものを栽培・育種・流通させたのが花屋さんの花)
人間、特に日本人は、植物で
・家を作り
・服を作り
・薬を作り
・紙を作り
・炭を作り
・季節ごとに飾って愛でて
・そしてもちろん食べて!
暮らしてきました。
生活のすべては、花=植物からもたらされたと言っても過言ではありません。
+魚を取りましたが、畜産は西洋文化が入ってから(動物のえさも植物)
生活のありとあらゆることに
花を使っていますよね。
=「何に使ってもOK」!!! なんです。
現代でも、花は
もちろん観賞用にも使いますが
食べ物であり
薬であり
紙であり
生活用品でもあることに 変わりはありません。
便利なプラスチックなどで新しい製品が作られても
化学合成で薬の成分が作れるようになっても
「もと」の植物の成分や性質がなくなったわけではありませんから
食べても使っても良いんです。
フラワーアレンジを教える人で
花は食べ物でも生活用品でも薬でもあるから
区別しないで何にでも使っていい
なんて言う人は とても珍しいと思います。
(わたしは知りません)
こういう内容のことを言うのは
自然な暮らし方を提唱する人
環境問題を訴える人 とかじゃないかな。
わたしは昭和生まれです。
昭和の「庭=畑=果樹園」な庭で育ちました。
実際に植物を育てて食べて、使って、薬にして、そして摘んで飾って愛でて
暮らしてきました。それがあたりまえでした。
その「日本人のしてきた、花と共に生きる暮らし」を
自分の体験をもって知っているから
これからの時代にもできる
地球を大事にもできる
生物多様性のためにもなる
持続的な資源を考える一歩にもなる
【花とともに生きる暮らし】の
きっかけになれたらいいな、と 思うのです。
そもそも、
花(植物)を食べて良いと知らない人がとても多いことに
花屋の仕事をはじめて気づきました。
薬の成分の多くが植物(&微生物)由来であることを知らない人が多いことにも驚きました。
毎日着ている服、毎日使っている紙が植物製だということを知らないことにもビックリしました。
「知らない」ものは「大切にすることはできない」
まずは「知る」ことがとても大事。
毎日の暮らしは植物でできている。
わたしは花を飾りながら
食べて、使って、薬にして、遊んでいます。
食べ物や生活用品と「飾る鑑賞用の花」を「区別しません」。
植物とは、そういう オールマイティなものだという認識をもつ
きっかけになれたらいいなと思うから。
だから、わたしはこれからも
植物を目で見て愛でるとともに
使う話・食べる話も 切り分けずに
同列に語っていきたいと思います。