夏休みの理科自由研究が楽しくなるコツ

「理科自由研究 るみ流おすすめの取り組み方」 をお話しましたが
ぜひやってみてほしい、とお伝えした「オリジナルテーマ」ってさ。

そうは言っても、いったいどこからどうやって「思いつけばいいのか」サッパリ分からない!

というときに読んでみてほしい「考え方」「捉え方」をお伝えしたいと思います。

まず、自由研究っていうものに対する「先入観」ですね、
「こうしなくてはならない」のような思い込みというか。

入門編なので、小学生向け(小学生をお持ちの保護者の方)向けにお話しますが
中学生高校生さんもどうぞ 参考にしてみてね。

自由研究のテーマも、結果も、決まって「いません」 


わが家の狭い狭い庭を歩きながら 思いついた「自由研究ネタ」をしゃべる私をご覧ください。
ユルいでしょ?ユルユルでしょ?緩すぎるでしょ?

特に小学生の自由研究(自然科学ジャンル) に
そんなにガチガチにならなくていいですよーー!
 

上の動画は、子供たちが 中学生・小学生になってから撮ったものですが

わたしがはじめて 自由研究に関する質問をもらったのは、息子が生まれた夏でした。
息子、生後1カ月のときです。

「夏休みの自由研究に、今から育てて花が咲くものはありますか?」

そんなに深く「子どもの自由研究」のことなんて、
生後1カ月ですからね; 考えもしていなかったのでビックリしたことを覚えています。
でもこの質問には、産後すぐで睡眠不足のうえ胸が張って熱も出てましたが
すぐにブログで回答したんですよね。

「どうして、夏休みのうちに 花が咲かないといけないんでしょうか?」

 

夏休み中に花が咲く必要は 
まったく、ぜんっぜん、
これっぽっちもないですよ!!



質問が本当に この一行だけだったので 想像でお答えしたんですが
おそらく、質問は 小学校低学年のお子さんを持つ親御さんからで。

お子さんの宿題のことをとても熱心に、真剣に考えてくださった結果
「花の種を蒔きました→すくすく育ってこんなキレイな花が咲きました」
という結果が「正しいもの」だと思って、
花が咲いてほしいと考えたんだろうな、と感じました。
むしろ「花が咲かなくちゃいけない」と強迫概念のように不安に思われたのかもしれません。

でもね。実際問題ね。

「花の種を蒔きました」のつづき。
想像してみてほしいの。

そんな 絵に描いた餅みたいにうまくいくことって
ふつう、ある? あると思う??

   

 

夏休みの間に花が咲くより大事なことがあります!


実際に なにかの植物のタネを蒔いたことがあったら
経験で「分かる」ことがあります。
それが・・・

そんなうまくいかない ってこと!

 

そもそも「芽が出ない」事だって多いのよ。

”夏休みのはじまりにタネをまいて一ヶ月で花が咲く”
そのような 「自由研究に都合の良い植物」は、
もしかしたら、探せばあるかもしれませんが。

夏!といえば、定番の 朝顔やひまわりは
夏休みに花を見るためには、5~6月にはタネをまかないといけません。

だから、学校の授業で春に種まきしたりしますよね。
で、夏休みに入るときに鉢植えを抱えて持って帰ってきます。(親が学校に取りに行ったり)

朝顔やひまわりのタネを 7月にまくこともできますが、
花が咲く前に秋になってしまうので、夏休み中には咲きません。

それでも探せば、夏休みの頭に種まきして、1ヶ月で花が咲く植物もあるかもしれません。
世界は広いですし。
これを書いている時点で「種を蒔いて50~60日で花が咲くように」
調整した花は何種類も出ていますから
そのうち「種を蒔いて30日で咲く花」もできるかもしれません。


でも、
無理に30日で咲く花を探しても意味がないと思うんですよ。

「種まきして30日で花が咲く」って、ふつうは「ない」ことですから
「目的」が 変わってしまいますよね?
30日で花を咲かせることが 自由研究っていう宿題の目的「ではない」です。

   

   

 

「不思議だな、どうしてだろう」と思い、ビックリ・感動することが宿題

自由研究は、
子ども自身が「なぜ?どうして?」と思った事象の学びを深めるのが目的です。

って 言葉にすると カタいけど

要するに 子どもが発する
「ねえなんで? ねえどうして???」
っていう疑問そのものが もう この「自由研究」っていう宿題の答えなのよ。

この世界のことをじっと見て
「あれ?どうしてなんだろう?ふしぎだな?」 って感じた疑問点について
調べたり、観察したりして

うわあ、そうなんだ!びっくりした!知らなかった!!」って
「知れた喜び、驚き、発見して嬉しい!」
 って感嘆する経験


「センスオブワンダー(感動する力)」が磨かれた経験を 形にしてきてね。
っていうのが 小学生の自由研究だとわたしは思っています。

中高生向けに言うとこんな感じになるけど 意味は同じ)

  


だから、お子さん自身が
「どうしても夏休み中に花を見たいから夏休みのうちに花が咲く花を探そうと思った」
のであれば 30日で咲く花を探すのもアリ。

ただ、その場合は「種を蒔いてどのくらいで花が咲くか」を
いろんな図鑑や本などを見て「調べる」過程そのものが 自由研究になるでしょう。

 

ではなくて、「自然観察をすること(花を育ててみたい)」をテーマにするのであれば
普通はそんなに早く育たないわけですから…
「そんなに早く花は咲かない、ということを知る」ことのほうが
無理やり早く育つ花を探すよりも 
はるかに意味のある学びなんじゃないかとわたしは思います。

 

 

親がしてあげられることは 子ども自身が経験する時間のサポートだけ

 お子さんが、
「夏休みにお花を育てたい」
と言ってくれたのであれば、それはとっても素敵なこと!

ただ、それに対して親がしてあげられることって
「無理やり1ヶ月で花を咲かせること」じゃないと思うんです。
花が咲かなくたっていい!

「子どもが育てたい花を育ててみる」
その経験を経て子どもが「感じる」ことこそが
その子の人生経験において
とてもとても大切で、意味のあることなのでは。
 

 

うまくいかせること や
夏休み中に花をつけさせること じゃなくて。

失敗してもいいし、どんなに時間がかかってもいい。

夏休みが終わるまでにどこまで育つかを見る。で良いのです。
夏休みが終わっても植物の世話は終わらない、ってことが分かりますし。
「お花ってそんなに簡単に大きくならないんだ」って経験として知ることができた。
ここに意味があるのでは?

「そんなにすぐに簡単に花は咲かない」ことを経験で学んだ。
だからこそ、「植物をだいじにできるようになる」んじゃないかなあ。

 

花を楽しみに、その植物の事をいろいろ調べるのもいいですよね。
「10月になったらさくそうです、だいじにそだてたいです」
で終わるのもいいじゃないですか。
夏休みが終わったあとも、花を大事に育ててくれるでしょう。
すばらしい成長です! すばらしい経験になりましたね!!って
ワタシ、めちゃくちゃ褒めたい。

 

「枯れちゃった」で終わってもいいと思います。
”どうして自分は枯らしてしまったか”、を考察すれば立派な研究です。
悲しい思いをしたからこそ、
「次はどうしたらいいかなあ」って考えることができますし
「花は生きている、命なんだ」っていうことが 本当に「わかる」ようになるのでは?

   

桃、アボガド、ぶどうなど果樹の種を植えるのもいいですよ!
「食べた果物の種をまいて芽が出ることを経験する」のも素晴らしい体験だし
 
木は草花よりも もっともっと、育つのに時間がかかります。
夏休みの間だけでは、せいぜい、
双葉の芽が出て、本葉が出た、くらいで終わってしまうでしょう。
木らしい木にすらならない。
「木っぽくなった!」ってなるのに最低でも1年かかるでしょう。

「そんなに 木が木になるのに時間がかかるなんてはじめて知りました」
これって ものすごく大きな学びですよね!

この経験をしてこそ、
”森を切ったら育てるのに100年以上かかる”ってことが
実感としてなんとなく分かるようになるんじゃないかなあ。

 

お子さんが 夏休みに「チューリップを育てたい!」って言ったとして、
どこのお店に行っても 夏休みにはチューリップが売っていないんですよ。

それで「どうしてえ~!!」ってなったら
チューリップのことを自分で調べさせたらいいんじゃないでしょうか。
チューリップは夏には育てられない事が分かります。
そこから関心が広がっていろいろチューリップについて調べたら、
それが立派な研究になると思います。育てなくても。


「咲いている花がほしい」、のであれば
「花が咲いている花苗を買ってきて」
「どう並べたらきれいか」を考えるところからはじめて、
花屋さんで苗を選んで、自分で花壇やコンテナガーデンを
作ったら、それも立派な研究だと思います。

      

最初に固定概念で、花を育てるなら
”『花が咲いた』”で終わるんだ。って決めてしまうと
なんというか、広がりがないんです。

もっとフリーな状態からはじめてみませんか。

フリーな状態での自由研究というか
「発見あそび」を 数年やったあと
中学生・高校生になったら
「目的」を自分で決めた研究に突入していくと良いと思いますが

なんでしょう、最初はそんな細かい目的はなくてもいいというか
「育ててみようと思った」「調べてみようと思った」くらい
ざっくばらん、アバウトなもので良いと思うんですよね。
 

小学生や
学年は上でも「慣れないうち」は
もっと 解放された状態で 湧き上がってくる疑問を
大事にしてほしいな。

   

花を育てようとすると こんな疑問・フシギが 出てくると思うな

こどもが「植物を育てる」という体験から学ぶことができる事柄
「花が咲いた」だけじゃありません。

育てようとしたときから
育て始めたらそれこそ
いろいろ、いろんな疑問が出てくると思うのよ!

「植物を育てたい」と思ったら・・・

まずは
土や鉢、肥料など
「植物を育てるための準備」を調べて、
用意しなくちゃだけど
そもそも ↑↑が 分からなすぎて「?????」になっちゃうかもでしょ。

そして
「夏休みの今がタネまき時期にある植物」を調べてタネをまき・・・
ってところでも「どどどどどどどどどれ!????」ってなっちゃいそうだし

・えっ、芽って1日2日で出ないの?? 1~2週間かかる
・芽が出てこないところも多いんだけど; 全部の種から芽は出ない
・せっかく生えてきた芽をぜんぶ育てようとすると大きくならない(間引きしなくちゃ)
・えっ抜いちゃうの??; かわいそうだしどうすればいいの??
・抜いた苗は枯れちゃうの? 他のところに植えてみていいの??

・1日どのくらい伸びるの?
・葉っぱはどんな順番で出てくる?
・葉っぱはどんな位置に出ている?
・つるを巻く植物ならどっち巻き?
・どうやって支柱にからまるの?


・全部の苗が同じ方向に巻いてる?巻いてない?
・茎や葉っぱに毛が生えている??
・この葉っぱの毛は何のためにあるんだろう??
・葉っぱに穴があいた!どうしてかな?
・葉っぱを食べているのは誰??

・折れてしまったら、そのあと何が起こるのかな?枯れちゃう?新芽が出る?
・どうして新芽が出てくることができるんだろう??
・つぼみができた!
・花が開くときってどんなふうに開くんだろう?
・花は咲いてからも毎日変わるのかな?

・花に誰かやってくるかな?
・花びらはどんなふうにして落ちる?
・花びらが落ちたあとの花はどうなるんだろう?
・タネができてきた!毎日どう変わっていくんだろう?
・タネが実ったみたい
・実ったタネには誰か来るかな?
・このタネはどうすればまた来年も咲くかなあ?

といったほんとうにたくさん、たくさんのことを

【不思議に思い、ギモンを感じ、
 そして自分で考えて、
 観察したり実験してみたりする】
ことこそが重要
なところであって

最終的に、
つぼみがつく前に
夏休みが終わろうと
「何の支障もない」と思います。

こうした、浮かんだ疑問すべてが
センスオブワンダー! だし
そのまま「ここが不思議だった!」って書けばいいし
弦の巻き方みたいに観察できそうなところは
観察して提出したらいいと思うんです。

その疑問・その発見 こそがすばらしい!!

  

  

花を育てようとした時に 色々な 不思議・疑問が「出てくることを知る」

冒頭の質問も、親御さんは別に
「結果を ”花が咲きました” にすると決めた」
というわけじゃないと思うんですよね。

親御さん自身が 
「タネを蒔いた→花が咲いた」という流れしか
「想像することができなかった」かもしれないし
「そうなるのがいい」と なんとなく、漠然と思い描いているだけかもしれません。


そもそも、
「そのほかの道が存在すること」
「その道の途中で思うギモン、感じる不思議が存在すること」自体、

何も知らない、経験したことがない事柄に対しては
なかなか想像できないものです。

そこで、これから
「お子さんと一緒に実際に育ててみる、育てようとする」ことで

親も子も、
「いろいろな道、

 いろいろな結果、
 いろいろなフシギがあることを知る」のだと思います。

これ、とても素晴らしい発見ひと夏の経験 だと思いませんか?


この世界のいろいろなことを
目を輝かせて子どもが学ぶ機会を
見守る体験を 親もすることができた、
親もたくさん学んだ、とてもいい夏休みになった。


親子でそんな風に思える夏休みに なるといいな。

 

 

10年以上前に書いた「自由研究」に関する記事

最初に 「30日で咲く花を教えて」って質問をいただいたのは 2007年
この記事を書いているのは 2023年 で
15年以上経っていますが
わたしの考え方は 変わっていません。 2013年にも記事を書いていまして


今回の「30日で咲く花を教えて」への 2013年の回答記事がコチラ

「カンペキは」ない、体験こそが大事~「自由研究」は大変?②| ├ るみのおさんぽ哲学
「カンペキは」ない、体験こそが大事~「自由研究」は大変?②


  

このほか

●「先生にテーマを決められてしまった、自由じゃない、楽しくない」の捉え方

与えられたテーマがあるから「自由じゃない」?~「自由研究」は大変?③| ├ るみのおさんぽ哲学
与えられたテーマがあるから「自由じゃない」?~「自由研究」は大変?③

 

●自由研究に限らず「これ知りたい」意欲はみんな持ってると思う話

勉強の極意~「自由研究」は大変?④| ├ るみのおさんぽ哲学
勉強の極意~「自由研究」は大変?④

 

  

さいごに
冒頭の動画、冒頭すぎて見てないかもなので もう一度載せておきますね。
ものすごくテキトーに 自由研究題材になりそうな「ふだん思うギモン」たくさんポロポロ。

こういう「なんでかな?」「どうして??」っていう疑問は
子どもなら皆 持っているものだとわたしは思っています。

無理に何かしようとしなくても 何かあると思うんですよね。

もし、小さなお子さんをお持ちのかたがここをご覧になっていたら
赤ちゃんの頃から、一緒に「自然」の中を歩くとき
(玄関や窓を開けて戸外に出るとき。買い物や保育園送迎などの家の周りで充分)
おうちの方自身の「晴れていて気持ちがいいねえ」
「鳥さんの声がかわいいね」「ちょうちょがきれいだね」といった
「この世界(自然)」に「感動した」ことを
たくさんたくさん、お話して共有してあげてください。

きっとそのうち、お子さんのほうから
「花が咲いてるよ」「何かいるよ」って
教えてくれるようになると思います^^
そうしたら一緒に「わあ!すごいね!」って
ビックリして おさんぽをめいっぱい楽しんでみて。

まあようするに 「ただのおさんぽ」 なんですけど
わたしはこの、ただの「おさんぽ」に
無限の可能性があると本気で思っています。

このブログ、まだ書き始めたばかりですが
おさんぽの話もたくさんUPしていきたいと思います。


これまでの わが家での体験は 旧ブログに17年分ありますので
興味を持ってくださったら覗いてみてくださいね。
古すぎるブログでSSL化ができないため「http://」です。
接続の際に「保護されていません」と出ますが大手FC2のブログですので
ご覧になることで危険性はないはずです。
順次、だいじな記事はこちらに移行できればと思います。

   

 


 

 

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