カイコと絹糸と桑畑
前回の記事で、
子どもたちと 桑の実を食べた話をしました。
どうして
桑の実ひとつに
そんなに思い入れがあるのか?
それは、わたしに・・・
子供の頃 小学校の掃除の時間に
掃除しないでコッソリ 桑の実を食べた
カイコを飼って、繭から絹糸を採った
桑の木は自宅の庭にも生えていた
「実体験の思い出」があるから でしょう。
実体験の思い出には
そのときのドキドキ!わくわく!な
感情がくっついています。
桑の実は、熟れると黒くなるので
果汁が黒紫色です。
実をつまんで採ると指先が黒くなり
食べると 唇周りも黒くなります(*´▽`*)
だから、コッソリたべるとき
服や口の周りが黒くなるとバレちゃうから
ドッキドキ! なんです^m^*
わたしにとって 桑の実は
初夏の 懐かしい味 とともに
コッソリ食べた ドキドキの味がします^^
現在は カイコを飼う小学校は減っているようで
息子の通う小学校でも 飼わない(T_T)んですが
カイコは
カイコガ っていう 蛾 のこと。
天の虫 と書いて、「蚕」(カイコ)と読みます。。
どうして天の虫?
最高級の布地であるシルクをつくる虫だから。
シルク・絹は
蚕の幼虫が 繭を作るときに吐き出す糸です。
カイコは、蛾なので
子供の時は イモムシ。
桑の葉を食べて大きくなり
糸を出して繭を作り
その繭の中でさなぎになります。
自然に置いておけば
10日~2週間ほどで
大人の蛾になります。
人は、カイコの繭の糸を
絹糸・シルクと呼びます。
世界中で 最高級品です。
人が育てるカイコは 真っ白。
ふわもこしていて、とっても可愛い!
野生のカイコは 幼虫もまゆも、みどりいろ。
採れる糸も 黄色~緑色。
わたしたち人間が
真っ白な糸が欲しいから
真っ白い幼虫と 真っ白い繭を求めて
白い蚕ができたのです。
カイコを育てるために 桑畑ができました。
地図記号に 特出して「植物名」がつくのは
稲(水田)・茶畑 そして
「桑畑」のマーク。
そのくらい
米・茶 と並ぶくらい
重要産業だった「養蚕」
世界遺産に登録された「富岡製糸場」は
明治時代になって
人の手ではなく「機械」で
繭から糸を採るようになった工場です。
おやつに食べた桑の実1つ(実体験)から
●カイコガの一生(理科・生物)
●養蚕産業・世界遺産・地図記号(社会)
●蚕という漢字のなりたち(国語)
●絹糸を採る機械のしくみ(物理・工学)
●童謡「赤とんぼ」(音楽)
それぞれの教科の教科書で初めて見て
「暗記しろ」と言われても;
まったくつながらない! 暗記が苦痛!な
これらの要素は
桑の実を食べた「想い出」からなら
糸を引くようにつながって
ただ、楽しいだけの
「知ってること」になります。
わたしが そうして育ったから
学校の勉強には まったく 苦労しなかったら
息子もそうして育てたら
学校の勉強には困っていない
「博識博士」と呼ばれているから
「子どもとおさんぽして、遊んで、食べて
むかしからの暮らしかたを 伝えるだけ」
それだけのことで
子どもの小学校段階での勉強には
まったく困らないことを
わたしは知っています。
小学校の段階で
「何でも知ってるね!」って 褒められるので
「もっと知りたい!」と自分で勝手に学ぶので
その後の勉強にも 困らないでしょう。
わたしだけでなく
姉も 弟も 自分から学んでいました。
それは、家庭の「環境」が
そうなるべき環境だったからだと
いま、わかります。
両親への感謝とともに
そういう「家庭環境」を
子どもたちに 受け継いでいきたいと思っています。
知ることは 楽しいこと!
想いを馳せることは 懐かしいこと。
あるのは、「楽しい遊び」の記憶だけ。
それだけで じゅうぶん
公立学校の勉強には困りません。
お勉強、じゃなく
教科書じゃなく
毎日の中で
桑の実食べて
イモムシ見て「遊ぶ」だけ。
遊びながら 親が
これが絹糸なんだよ
手で紡いで染めていたんだよ
この桑の葉っぱがエサだよ
ということを
伝えていく
「親にその思い出があるか」
「親が 毎日の暮らしが
何から成り立っているのかを学ぶ」
ことが必要です。
あなたも
「イモムシが 吐き出した糸がシルクです」
って聞いて
「100% SILK」表示が 気持ち悪くなる かもしれないけど
イモムシが出す「糸」を実際に
見たことがあるかどうかで
シルクに対する「見かた」が
ものすごく変わるのは想像できると思います。
イモムシって一般的に
すごく好かれる生き物ではないと思いますが
でも、
「この糸が 最高級の糸」って思って
幼虫を見ると
ヒトが作ることができないものを
作ることができる
小さな虫の偉大さを感じるでしょう。
「こんな小さな生きものが
人間が決して作ることができないものを
あたりまえに作るんだ
すっごいなーー!!」
虫に対して
そういう想いがあるかどうかで
虫に対する 接し方が
大きく変わってくることは
想像に難くないでしょう。
わたしたちの毎日の暮らしは
植物や
小さな生きものたちが
作ってくれている。
あなたのシルクのスカーフは
小さなカイコの幼虫たちが
100匹そのいのちをささげたもの。
(糸をとるために繭を煮た幼虫は死にます)
そのことを
”実体験” で知っているかどうかが
「考えの奥深さ」
「心の豊かさ」に
つながってくると思っています。
教科書に載ってた
図鑑で見た
映像教材で見た
だけじゃなく
「そのいのちを 手に乗せたことがあるか」
手で触れて
肌で感じて
その目で見たか
を 大事にしたい。
その体験を 子どもたちに 贈りたい。
そしてその体験を
させてあげることができるのは
「親(家族)」だけ。
家庭の中にしかない
安心と愛情に囲まれながら
笑って遊んで学べる時間を持つこと
その喜びと 大切さを
やっぱり 伝えていきたいな。
お父さん・お母さん
おじいちゃん・おばあちゃん
家族にしかできない
愛情と 人間の英知を伝える
「おうち」の花とおさんぽの時間 を
ひとりでも多くの
お母さんたちに
届けることができますように。
どんなふうに 伝えたら 届くかなあ?
考えて コツコツ
届けていきたいな。